あらぁぁぁぁっ~~~、お腹まわりが~~~、もしかしてコロナ太り?

 毎日、「テレビをつけたらコロナ」、「新聞を開いたらコロナ」、「電話の話題でコロナ」、コロナ、コロナで、何だかおつかれと思います。そのため、知らず知らずに、あめ玉の数が1つ2つと増えたり、大福をついつい食べてしまったり、していませんか? 今は、誰でもコロナ太りになりやすい状態です。私は豆大福、よもぎ大福が大好きで、いつもお腹と相談しながら食べています。でも、「あめ玉たった1つ、大福1つじゃないか!」と思いませんか? 私はいつも思います。ただ、あめ玉1つは、15キロカロリ-なのですが、その15キロカロリ-があれば、なんと!人は1日の呼吸ができます! 人は1日に3万回の呼吸運動を行っています。呼吸も運動の1つですが、3万回を行うのに、あめ玉1つ15キロカロリ-で十分なのです。もし黒あめであれば、1つ20キロカロリ-のため、1日呼吸してもおつりがきます。人は少ないエネルギ-で体を動かすことができ、ずばり!「人は低燃費です!」低燃費のため、コロナ太りがすぐ近くにいます。あめ玉1つが15キロカロリ-とすると、大福1つは何カロリ-だと思いますか? なんと!250キロカロリ-で、あめ玉15個以上です! その250キロカロリ-の大福を消費するためには、体重60キログラムの人は、5キロメ-トルも!歩く必要があるのです。びっくりです! それだけのカロリ-がある大福を毎日1つずつ食べていると、コロナ太りが、そろりそろり、お腹まわりにやってきます。大福を一口で、あっと言う間に食べている方は、もったいない!本当にもったいない!食べたあとは、5キロメ-トル歩くと同じ量の運動がまっていますので、ゆっくり、ゆっくり、味わっていただければと思います。逆に、5キロメ-トル歩くと同様の運動をしたり、掃除洗濯などの家事を行ったりした後には、気持ちよく、おいしく、大福を食べられると思います。動く前に食べる!ではなく、動いてから食べるようにしたいものです。でも、動くのは面倒くさいし、先に食べたくなります。ん~~~。

赤羽根 誠

 

 

 

 

春がきたぁ~~! その前に、足元チェック!

 

いよいよ春です。今年も雪国では、これでもか~、これでもか~、と雪が降りましたが、日中はぽかぽか暖かくなり、桜の季節がやってきました。こころウキウキ、からだソワソワです。ただ春先は歩行中の転倒事故が多くなります。せっかく春なのに、怪我をしてしまったら、とても残念です。そうならないために、1つご提案です。以下の写真のようにつま先を上げられるかどうか?です。椅子に腰かけた状態でも、何かにつかまって立った状態でも、とにかくつま先を上げられるかどうか?です。実は、歩行で足が前にスム-ズに出るときには、つま先が必ず上がっているのです。つま先が上がりにくいと、ジュ-タンの毛でも畳のへりでも、引っかかってしまいます。そのようなつま先が上がりにくい状態ですと、玄関から外に出るまで、障壁だらけになります。外に出てから、小石1つでつまずいてしまいます。つまずかないためにも、以下の写真のようにつま先を上げられるかどうか?確認お願いします。つま先が上がりにくい場合は、ふくらはぎの筋肉をさすったり、もんだりすると、つま先が上がりやすくなります。ふくらはぎの筋肉が硬いと、つま先が上がりにくくなります。春だぁ~~と、外に出る前に、ぜひ足元チェック、よろしくお願いします。春に向け、ご提案でした。

赤羽根 誠

 

 

 

体の筋肉も冬支度、筋肉の話をちょっとだけ聴いて頂けませんか?

 

 新じゃが、新そば、新米の時期になりました。秋はおいしいものを沢山食べて

 

冬支度です。体の冬支度で、筋肉も一生懸命に冬支度をしています。今回は筋肉の話をちょっとだけ聴いていただけませんか?

 

筋肉の働きでよく知られているのは、体を動かし、歩く、ご飯を食べる、トイレに行くなど日常生活を行うことです。ほとんど知られていませんが、筋肉にはもう一つ大切な働きがあります。それは、体温を守る働きです。筋肉は体の熱が下がらないように体温を保つときは硬くしたり、体温が高まり熱を下げるために柔らかくしたり、さまざまな調節をしてくれています。さらに熱を上げるときには、一般的に悪寒と言われていますが筋肉を硬くし震わせます(悪寒は筋肉の頑張りです)。体温調節ができないと、病気になってしまいます。そのように筋肉は、病気にならないように体温を守ってくれています。今の時期は朝晩寒く、昼は少し暖かい状態です。筋肉も体温調節に大忙しです。スト-プのスイッチを入れたり消したり、衣服を着たり脱いだり、その都度、筋肉も硬くなったり柔らかくなったり大変です。それだけでも大変なのに、歩いたり、ご飯を食べたり、トイレに行ったり、この時期の筋肉はフル活動です。筋肉が頑張り過ぎて疲れると、足がむくんだり、だるくなったり、痛くなったりします。冬支度は本当に大変です。冬支度も終わり、真冬になると、室温の状態や衣服の脱着も落ち着き筋肉もやれやれと一段落です。ただ体が寒く感じると筋肉を硬くするために、一生懸命に働く必要があります。体を冷やさないようにお願いします。今シ-ズンは暖冬とのことで、筋肉もほっとしていると思います。足がむくんだり、だるくなったり、痛くなったりしたときは、筋肉の声と思って、やさしく摩りながら、冬支度おつかれさまと声をかけてあげてください。よろしくお願いします。

赤羽根 誠

 

 

 

 

幸せな季節到来!おいしく食べるために「食べやすい口づくり」

 

 空が高くなり、白い雲がたなびく季節になりました。お店にも秋の味覚が並び始めています。「わぁ~~、おいしい」と感じ食べるためにも、日ごろから口のケアが重要です。

 

「口や舌を楽に動かすことができる」、「よく噛んで、しっかり飲み込むことができる」このような状態になっていることが大切です。

 

 歯磨きなどの汚れをきれいにする口腔ケアは、とても大事です。今回はもう一つ大事な口腔リハビリテ-ションをご紹介します。口唇や舌、頬などの筋肉が柔らかくなり動きやすくなることで、「食べやすい口」をつくっていきます。

 

 口腔リハビリテ-ションの一つとして「あいうべ体操」をご紹介します。

 

「あいうべ体操」は唇や舌、頬などの筋肉を意識して動かしていく「筋肉の柔軟体操」と「筋トレ体操」です。この体操のコツは一つの運動に対して四秒かけてゆっくりゆっくりしっかりと動かしていくことです。それでは開始します。まず「あいうべ体操」の「あ」は思いっきり大きく大きく口を開けます。次に「い」は唇を横に引きます。食べ物を飲み込む時は、唇を横に必ず軽く引くからです。そして「う」は唇を突き出すように強く前にすぼめます。頬の筋肉も目いいっぱい使います。最後に「べ」は、あっかんべ~~のように、べ~~~と言いながら舌を床に向かって下側に長く長く伸ばします。舌が喉の奥に残ってなかなか前に出ない場合は、舌の筋肉が硬くなり伸びにくくなっています。繰り返し繰り返し行っていると舌の筋肉が少しずつ伸び、長く伸びやすくなります。

 

「あいうべ」を1回として 一日10回を目安に毎日お願いします。歯磨きなど口腔ケアのときに1回でも2回でも行っていただけると、「食べやすい口づくり」の開始になります。少しでも痛みが出てくる場合は、無理せず中止してください。

 食べらることは幸せです。いつまでもおいしく食べられるように、「あいうべ体操」を試してみてください。さあ~、食べるぞぉ~~。

赤羽根 誠

 

 

 

植物(花・盆栽・植木・野菜)を育てると元気になる!(園芸療法で元気100倍)!

 

 みなさん、待ちに待った、すばらしい季節がやってきました!

 

 家の中、庭にも、畑にも、植物(花・盆栽・植木・野菜)が沢山あります。その植物(花・盆栽・植木・野菜)を見ているだけで心が落ち着く効果があります。さらに植物(花・盆栽・植木・野菜)を育てると、多くの効果があることをご存じでしょうか?ヨ-ロッパやアメリカでは、園芸療法として広く知られています。

 

 

 

効果①:リラックス効果(精神安定効果)

 

植物(花・盆栽・植木・野菜)の茎、枝、葉、花、実、さらに土や水を見ているだけでも効果がありますが、においがさらにリラックス効果を高めてくれます。そして土や水、葉、実などを触ることで、さらにさらにリラックス効果を高めてくれます。土をいじりながら、自然に鼻歌が出てきます。ふ~~ふん、ふう~~ふん、ふう~~~。

 

 

 

効果②:睡眠効果

 

効果①のリラックス効果だけでも夜の睡眠を助けてくれますが、さらに家の中であれ、外であれ、日に当たることで昼間と夜のメリハリができ、夜、布団の中で眠りやすくなります。土いじりをした夜は、ぐっすり眠れた経験はありませんでしょうか?それは、昼間の土いじりのおかげです。ぐぅ~~ぐぅ~~。

 

 

 

効果③:運動効果

 

無理にウォ-キングなど特別な運動をしなくても、植物(花・盆栽・植木・野菜)を育てていると、全身のさまざまな筋肉や関節を自動的に動かします。それが結果として柔軟体操になったり、筋力トレ-ニングになったりします。30分の土いじりは、30分の運動になります。土いじり専門の農家さんは健康で長生きで、お手本です。土いじりが園芸療法として、病気やリハビリテ-ションなどの治療に使われている所以です。土いじりで、元気100倍!

 

 

 

効果④:食欲増進

 

言わずとも、土いじりを行えば、腹が減る!は、ご存知のことと思います。効果③の運動効果により全身の筋肉はもちろん、血液・リンパや呼吸の循環も良くなり、お腹がすきやすくなります。さらに効果①のリラックス効果により胃腸も活発になり、お通じもよくなります。食欲がますます増進します。もりもり食べて、元気100倍!

 

 

 

植物(花・盆栽・植木・野菜)を育てると、4つの効果で元気になります!

 

それでは、今日もレッツ・ゴ-、です。

 

赤羽根 誠

 

 

 

発症30年後の失語症訓練

 

 半年ほど前、地域包括支援センターのケアマネジャーから「38歳でくも膜下出血を発症し失語症となったAさん(現在67歳)は言語訓練の適応がありますか」と相談がありました。Aさんの発症当時は十分に外来リハを利用できたはずですし、市町村での機能訓練も併せて受けられる時期だったはずです。それが今になって言語訓練を希望されるのは、何か理由があるはず。まずはご本人に会って話を聞くことにしました。

 

 

 

 さすが発症後10年近く言語訓練を受けられてきたAさん。口から発する言葉は少ないですが、指さしや身振りで表す、字を書く、実物を持ってくるなど長い期間機能訓練を受けてきた成果が自然に行えていました。同窓会や生け花教室の仲間とは、困ることはないとのこと。それではなぜ言語訓練を希望されたのでしょうか。実は『何か伝えようとしているのだが、あきらめてしまう姿が悲しい。どんな手段でもいいから、あきらめて欲しくない。』という同居している娘さんの気持ちが相談の出発点でした。

 

 

 

 長期間かけて習得した手段でも、重度失語症者自身がうまく使いこなすことは非常に困難なことです。失語症者自身が発する話ことば以外のサインを周囲の方がキャッチすることでコミュニケーションは成り立つのです。Aさんの持っている手段を整理してよみがえらせるためには、発症後30年経っていても訓練適応があると判断して訪問を開始しています。

 

 

発症後長期間経ていても、定期的にセラピストがかかわってブラッシュアップするような機会があってもいいのではないかなと感じる事例でした。

 

秀友会在宅リハビリテーション

大澤 真理

 

 

 

好きこそ物の上手なれ!

 

ちょっとややこしい話ですが、皆さんは、平成29年度までに実施される「介護予防・日常生活支援総合事業」で要支援者向けに実施される「介護予防・生活支援サービス事」の中で、訪問型サービスの類型の一つとして位置付けられている「短期集中予防サービス(訪問型サービスC)」というのを御存知でしょうか? 体力やADLIADL改善に向けた支援が必要な要支援者を対象として、保健・医療の専門職が実施する市町村主体のサービスで概ね3~6か月間に複数回実施してアウトカムを出すものです。ある町で、このサービスを使って何人かの方に関わらせていただきました。

 

その中の一人に、Aさんという方がいます。70代前半の男性で、数年前に脳梗塞後発症し、自宅で自立して生活されていましたが最近何度か転倒するのでなにかアドバイスをということで対象になった方です。実は、上下肢に重い左マヒ(Br.stage23レベル)があるのですが、そんなことはなんのその!  趣味の野菜作りのために、自宅の庭に概ね20m×20m程度の畑をつくって、一人で全て管理しているのです。ピンと来ないかもしれませんが、スコップでの肥料まき、ビニールハウスの組み立て、くい打ち、力わざでなんでもです。このバイタリティーに感服いたしました。楽しく生活され、パークゴルフや車の運転もこなすなど、活動・参加の点では申し分なかったのですが、麻痺側は筋緊張が強く転倒の要因と考えられました。本人は、特になにも気を使ってなかったので、ちょっとだけストレッチ(ひとりではなかなか難しいですが)をするように指導しました。最初は習慣化できませんでしたが、再度指導したところで、転倒がしにくくなったことを実感して、継続してくれました。

これだけ動けるのは、比較的体幹機能がしっかりしていたことがあるのでしょうが、「○○がしたい」がある人にはかなわないと思わせるAさんでした。

 

北海道総合在宅ケア事業団

菊地 啓介

 

 

 

 

入浴用の装具

 

 皆さんは入浴用装具というものを使っている方をどれくらいご存知でしょうか?入浴用の装具はあまり広がっていないのではないかと思います。

 

 考えてみていただけるとわかりますが、立位歩行活動に装具が必要な方にとって、浴室での移動はさらに困難な環境になります。現状では家庭でも、通所等でも介助者がいるので、何とかなっているのです。もちろん手すりや、その他の入浴関連用具もあるので、装具がなくても可能な方はいらっしゃいます。

 

 ここに、自立支援型マネジメントの推進というキーワードを入れて、改めて考えてみてください。

 

 自宅での入浴時のみではなく、デイサービス・デイケアでの入浴時、装具があれば今よりも介助量が減少する方、あるいは自立に近づける方はいないのでしょうか? さらに、せっかく日本に住んでいて温泉に行きたいという方はいないでしょうか?

 

 私の経験では、60代から70代くらいの女性の方でも、温泉に行くのに入浴用装具を利用している方がいます。最近の温泉には家族風呂とかがありますし、介助者の方と入りやすい場合もあるようです。それらの環境は事前に確認が必要ですが、参加の拡大ということにもなるかと思います。

 

新さっぽろ脳神経外科病院

濱本 龍哉

 

 

 

 

自立支援に資するケアマネジメント合同研修会に参加して

 

 先日、全国のケアマネ協会・デイケア協会・訪問リハ協会合同の研修会に参加しました。

 

3協会長のパネルディスカッションで、実際のリハビリサービス提供の在り方について、この度新設されたリハビリマネジメントに絡めて活発に議論されました。一方、宮田会長(訪問リハ)より訪問リハビリがまだまだ使われていないという現状もお話しがありました。播磨は既にリハビリサービスが始まった利用者に関してはみんなで質を高めるように努力していけるが、サービスを依頼する前のケアプランへリハビリを位置づけるかどうかの段階でも、リハビリに関するマネジメントが重要ではないかと意見をさせていただきました。斉藤先生(デイ・ケア)はどの利用者もリハの視点(リハの目)が必要とお話しされていましたし、その段階で相談できれば有り難いと鷲見会長(ケアマネ)も、賛成して下さいました。播磨は問い合わせが来たときに、必ずリハビリのマネジメントを行う覚悟でいつも電話を受けており、サービス利用につながらなくてもケアマネさんが相談で納得していただくと、いい仕事をしたと満足しています。

 

 

 

     さっぽろ在宅医療クリニック 播磨

 

 

 

 

大役を引き受けて・・・

 昨年と今年に渡り、多職種連携のシンポジストの大役を依頼されました。昨年はプライマリケアの研修会で、今年は1119日(北海道地域医療研究会主催)に行われます。

 

昨年は「多職種協働って誰のため~本音バトル~」がテーマで、医師(訪問診療)、訪問看護、ケアマネ、訪問薬剤師、リハで構成され、いつも東区の多職種研修会では中心的な方ばかりでしたので、多少緊張感のある研修でした。

 

研修ではリハにはもう少し生活状況に目を向ける前に病態をアセスメントできるようになってほしい、もっとケアマネに訪問リハの強みを伝えて欲しいと厳しいお言葉がありました。月並みですが、病態アセスメントを取り入れた研修をしていますよ、在宅生活をしていく上で予後予測しながら機能訓練だけではなく、福祉用具の活用や楽しみのきっかけを作り外出支援を協働していきましょうと・・答えています。

 

連携で大事なのは研修終了後ですね。お疲れ様会での振返り、その後の東区多職種研修会では声を掛け合える中になっています。

 

参加しなければ、何も始まらない「多職種連携」ですが、大役を引受けなければ、深い関係までにはならない距離を改めて感じました。皆さんも大役のお声が掛かった時はチャンスですよ!

 

最後になりますが、来年の1月でクリニックを退職し、実家の青森に帰る事になりました。北海道の皆さまには感謝しきれない程、お世話になりました。本当にありがとうございました!

栄町ファミリークリニック

小野俊也

 

 

 

 

思いを言葉にする手伝い

 

 病前は自らも厨房に立ち、飲食店を経営していたという軽度失語症Aさん。訪問を開始して間もないころは、使っていた調味料が思い出せない、手順よく調理できないと暗い表情のことが多くみられました。それでも奥様の手伝いをすることから始め、今では家族の昼食を作るだけでなく、自家製のドレッシングやミートソースなど秘伝の味も再現できるようになりました。

 

 

Aさんは自分で書きだしたレシピを見ながら調理手順を説明してくださいますが、時には聞いたことも無いような専門用語も飛び出してきます。旬の野菜を話題にすると、私よりもたくさんメニューを挙げられますし、作り方のコツも教えてくださいます。「こんなことも知らないの?」と逆に驚かれたり、「こんな風にしたら?」と夕食のヒントをくださることもよくあり、私にとってはまるで料理の師匠のようです。

 

 

Aさんには特別にやる気スイッチを探すことなく、ここまで至ることができました。私のしたことと言えば、何に困っているか聞き出し、それを解決するためにはどうしたらよいと思うか一緒に考えるようにしただけです。程度の差はあれ言葉を理解したり、気持ちを表現することが難しいのが失語症です。Aさんの言語機能を向上させることはもちろんですが、ポロリとこぼれ出た小さな言葉を見逃さす、思いを言葉にして行く手伝いをするのも私の仕事だと感じています。

 

秀友会 在宅リハビリテーション部

大澤 真理

 

 

 

 

機が熟すのを待つことの大切さ

 

「訪問リハビリテーションの重要な役割は、利用者さんの生活機能の予後予測です。利用者さんの生活障害に見通しをたてて関わることが大切です」と今年に入ってから、何度も研修会等でお話ししてきました。

 

ただ、見通しをつけることと、実際に動くことはまた少し違っているような気がします。

 

進行性疾患の方の環境整備では、将来のことも考えて、「無駄のないように」「もっと動けなくなった時にどうするか考えて」などなど、先を見通したあまり、悪くなった時のことを考えて、「今は必要性が低いけれども今後困らないような」環境整備を提案して、利用者さんを「うーん」と悩ませてしまうことがあります。

 

そんな時は、私は気が小さいので、「そうだよね、今は大丈夫だよね」と利用者さんが納得する範囲での住宅改修や福祉用具の利用にとどめています。

 

 今日の訪問では、最近落ち着いている進行性疾患の方の方に「最近はトイレやお風呂はどう?前よりも大変になった?」と聞いてみました。すると「トイレで前に進むときが(方向転換)ちょっと怖くなった」とのこと、早速一緒にトイレ動作を確認しました。

 

以前提案したときは、「うーん」と言って見送った手すりの設置を、今回は「ここにあったら楽になると思う」と自分で手すりをつけることを決めて下さいました。事務所に戻った後、一緒に訪問しているスタッフにも報告し、CMさんへ連絡を取り、次回業者さんと同行することになりました。

 

もっと前の段階でそこに手すりがあったら、利用者さんは「ちょっと怖く」ならずに済んだのだと思うと、手すりの必要性を強調して先回りしてつけておけば良かったのかなと反省してみたり、納得いかない住宅改修を勧められて、自分はどんどん悪くなるんだと利用者さんを落ち込ませるのも、本意ではないな・・・と思ったり。

 

答えは無いなと感じながら、「専門職として利用者さんのことを考えて、やるべきことはやる、言うべきことは言う!」ことの必要性と、「寄り添って待っていれば利用者さんは自分で判断できる」と信じる心と葛藤しています。

 

失敗することもあるけれど、今日のところは、自分の気の小ささがプラスになったかな。

 

訪問看護ステーションつぼみ

内藤 麻生 

 

 

 

 

 

チーズケーキ作り!

 

やっと北海道にも夏がきた!と思うのと同時に暑さでバテバテ…。

 

内地と比べたら、まだ良いのでしょうが、暑さが体にこたえます。

 

 

 

最近は訪問で調理の練習を行うことが多くあります。

 

調理と言っても、実用的なものばかり作っていては楽しみもないので、気分転換も兼ねて

 

ケーキ作りをしてみました。

 

一度目のベイクドチーズケーキは残念ながら写真を撮り忘れたので、残った材料で二度目にチャレンジした、レアチーズケーキの写真です。

 

二度目ともなると、訪問前に利用者さんが一人で材料の計量から何から何まで用意してくれていました。

 

本人も「少し自信がついてきた」と前向き発言!

 

「手を借りてばかりだったけど、少し自分でやってみたいと思っている」と話してくれました。

 

これまでは、夕食作りは週に1度でしたが、今は週に二回に増やして行ってくれています。

 

 

 

訪問リハで、自分は何ができているのか?どう暮らしていけるようにサポートできているのか?いつも試行錯誤、悩みにふけっていますが、

 

利用者さんの自発的に取り組んでいってくれる姿は、「良かったな」と感じる瞬間です。

訪問看護ステーションつぼみ

友田 芳信

 

 

 

 

 

 

人間、やっぱり!すごい!訪問リハの魅力!

 

 私は訪問リハ担当として、病院から退院されたばかりのお~さん宅にケアマネジャ-さんと一緒にお邪魔しました。さっそく娘さんから「父は何もできなくなってしまったんです。このまま動けなくなってしまうんでしょうか。」とつらそうに話されました。娘さんからのお話しをさまざまお聴きしているうちにご本人も話に参加され、ご本人の生活の歴史も11つお聴きしました。その中で若い頃はバイクを乗り回していたこと、大工さんとして働いてきたこと、ラジオ体操や準備体操のこと、盆踊りの太鼓をたたいていたこと、娘さんとスキ-やキャッチボ-ルを行ったこと、キャンプにもよく行ったこともさまざまお聴きしました。お話をお聴きする中で、スキ-での体重移動や、カンナをかける姿勢、少し高いところで釘を打つ姿勢、ラジオ体操での動き、キャッチボ-ルで玉を拾う姿勢などを行ってくれました。娘さんから「お父さん、動けるんでしょ!」ご本人からも「あれぇ~そうだなぁ~!」と驚かれていました。今では娘さんとご本人で過去の身体の動きをあれこれ思い出しながら、日常生活を過ごされています。不思議に思えますが、立っている姿勢を改善するときに「背中を伸ばして」と伝えるよりも、「壁の釘打ち」とお伝えする方が姿勢の改善がみられるのです。また、歩いているときに足がすくんでしまうと「スキ-」とお伝えするだけで、腰が左右に動き出しすくんでいた足が前に出て歩き始めることができるのです。ご本人の表情も「ニッ」と笑顔になります。壁の釘打ちやスキ-などくり返し意識して記憶した体の動きは、大切に保管され必要に応じて使えること、人間のすごさを実感します。訪問リハで「〇〇動作は〇〇動きができるとさらに前進できると思います」のように、ご本人と娘さんにお伝えすると、翌週にはご本人と娘さんで「過去の〇〇の動きを活用してみました」など工夫されたことをさまざま教えてくれます。訪問リハでお邪魔して新たな発見を教えていただくのが非常に楽しみです。勉強させられること、感動すること、人間のすごさを発見すること、訪問リハは魅力満載です!それでは、今日も行ってきます!

 

秀友会 在宅リハビリテーション部

赤羽根 誠

 

 

 

 

 

災害リハビリテーション支援について

 

東日本大震災から丸5年、また本年4月には熊本地震が発生し、2か月がたった今現在もテント生活、車中泊を余儀なくされている方が多くいらっしゃいます。熊本には北海道からも災害リハ支援として3次隊まで派遣いたしました。また、東日本の被災者への支援を続けているセラピストもいらっしゃいます。

 

先日行われました、第47回北海道作業療法学会の災害リハワークショップにおいて、南三陸町で訪問リハ中に被災されたPTの方の話を聞く機会がありました。その時の訪問の対象者は呼吸機能障害で在宅酸素療法の方だったそうですが、地震により停電したため、酸素濃縮器が停止、自宅に在庫していた酸素ボンベも一本しかない。また、電話も不通で職場との連絡も取れないという状況に置かれたそうです。

 

訪問リハのセラピストは、対象者の住む場所、環境、身体・精神状態を把握している者として自身の安全確保はもちろんですが、対象者の被災状況の確認、避難場所の確認、避難方法の確保など発災時から最前線で支援することが可能な立場といえます。

 

 普段、訪問しているお宅ですから被災状況の確認に行くことは可能でしょうが、最寄りの避難場所や避難方法の確保、先程の例のような予備酸素ボンベの確保となると事前の情報収集や準備がなければ対応困難でしょう。

 

東日本大震災や熊本地震の災害リハ支援の教訓が活かされなかった。ということがないように、事業所として、個人として、これまで支援活動を行ってきたセラピストの経験を共有して財産としていきたいものです。

 

 

牧田病院 吉岡英章

 

 

 

 

リハ専門職間の連携

 

以前から訪問リハのセラピストから、病院のセラピストは在宅のこと、退院後の生活のことが分かっていない、入院中と在宅生活では違うんだということが分かっていないという声をよくきいていました。実際に、病期ごとの編成が進んでいる現在の病院の状況では、急性期病棟と回復期病棟間であっても情報は一方通行で、急性期からの送りが行われて終わってしまうことも多いでしょうし、在宅系のセラピストとの関係もやはり、退院時の情報を送ることで完結してしまっていることがほとんどではないかと思います。もちろん例外はあるでしょうが。

 

 ここで問題なのは、情報が一方向へしか流れないということにあります。退院前にいろいろ準備したことが十分に機能したのか?課題として予想したことが妥当であったか?などの結果がフィードバックされないので行ったことの評価が十分になされないという点です。

 

 地域内連携の重要性というのはずいぶんと言われており、リハビリテーション専門職の我々はもちろん理解していると思います。でも我々自身が、職種間連携を行えていると言えない状況では困ります。

 

 地域包括ケアの構築が行われていく中で、地域においてわれわれは病院も在宅も共に話す機会を作り、職種間連携をすすめていきましょう。

 

 私のところでは、厚別区・清田区のリハ機能のある3病院で情報交換会というものを実施しております。訪問リハも実施している病院です。通所機能のある病院もあります。今後、老健や他の通所施設の方とも交流できる場を作っていきたいと考えております。

 

 まずは隣の施設、病院からどうでしょう。

 

 

新さっぽろ脳神経外科病院

 

濱本 龍哉

 

 

 

参加する場

 

 こんにちは、3月からバトンを引き継ぎました。昨年の介護報酬の改定で、生活期のリハビリテーションは「心身の機能だけに目を向けるのではなく、積極的に活動や参加につなげるような働きかけをする」と強く示され、1年が過ぎました。訪問リハでかかわる利用者さんは様々で、単純に皆さんが「参加の場や役割の再獲得」に繋がるわけではなく、正直もどかしい気持にもなりますが、今一度、何のために訪問リハをやっているのか?と考えるよいきっかけとなっていると思います。3月のエッセイで、地域での活動「屯田いたわりんく」という会の紹介をしました。現在は、ハンディキャップがあっても外出しやすい近隣のお店やお食事処、美容室、地域の開放図書館などたくさんの情報交換をして、「おでかけマップ」を作る活動をしています。この活動を通じ、私たちは知っているようで全く知らなかった地域の社会資源に触れることとなり、利用者さんのために役に立つ情報を得ることや、よりスムーズに事業所間の連携が取れるようになったという利点を感じています。セラピスト自身が「訪問」という枠の中で閉じこもりにならず、手を伸ばして参加の場を見出していくことの重要性を感じました。この活動はまだ始まったばかりですが、今後は、同じ地域にお住いの方々やお店の方々にも「いたわりんく」の活動をお知らせし、協力をお願いしていこうと思っています。

 「地域包括ケアシステムの構築」というと、なんだかハードルが高くなりますが、地域にある様々なサービス、医療機関、町内会や商店街等々、みんなで知り合いになって、手をつないでいけば「誰かが困った」ときに、それなら「ここに相談しよう」と自然に解決策が出てくるはずです。そんな未来を目指して、コツコツ進みます。

 

訪問看護ステーションつぼみ

内藤 麻生

 

 

 

みんなと手を取り合おう!

 

 皆さんは自分の地域にある社会資源をご存知ですか?利用者さんの家に訪問した際に、“外食に行きたいんだけど、車いすでも行けるお店はないだろうか?”“少し元気になってきたから、昔好きだったカラオケに行ってみたいな”などと問われたときに、その人の力で行ける場所をすぐに返答できず、「地域の資源を意外と知らないな」と思いました。社会資源と言っても、介護・福祉関連のフォーマルな資源のみならず、ボランティアや公民館、公園、お店などインフォーマルな資源も含めてですから、一人の力では調べるにも限界があります。もっと色々な地域の人と相談できる機会があれば、今以上にみんなのためになり、還元もできるのではないだろうかと日頃から知り合いのケアマネジャーさんと話していました。そしてその方が、地域の介護・福祉系の事業所に声をかけて下さり、一同が顔を合わす機会が設けられました。平成278月から始まり、現在までで3回開催していますが、回を重ねるごとに、参加者の熱気が増してきています。自分の知らないことが地域には数多くあるのだと改めて知る機会になりました。

 

 この集まりは私が所属している「訪問看護ステーションつぼみ」がある札幌市北区の屯田という限られた地域での話ではありますが、参加者がいろいろなところでその話をすることで、周りの地域から“自分たちの地域でもして欲しい”など良い反響が聞かれています。

地域の事業所の方々と“顔を合わせて”話す機会が持てたことで、日常業務も今まで以上にスムーズにいくようにもなりました。まずは勇気をもって一歩前に踏む出すことができれば、今よりもっと自分たちを取り巻く環境が変わっていくかもしれません。つづく・・・

 

訪問看護ステーションつぼみ

友田 芳信

 

 

 

 

 

毎日の心がけ

 

 私は言語聴覚士として仕事をさせていただいているため、コミュニケーションに支障をきたしている利用者さんとの関わりが比較的多いです。コミュニケーションに問題のない方であれば、ほんの何秒で話すことが出来る内容もコミュニケーションに支障をきたしている方はそうはいきません。訪問リハに行くときは限られた時間の中でサービスを提供することはもちろん、その他に少しでも笑顔で利用者さん主導のやり取りが出来る瞬間を作れるかということを、いつも心がけているつもりです。

 

 利用者さんがご自分から「伝えたい!」と思うことが出来る場面を作るために、最新のニュースや昔のニュースなど様々なジャンルの話題にアンテナを張り、興味のあるものや日々の生活の流れ、性格や価値観などを会話の中から探っていきます。その方はこれまでにどのような人生を歩んできて、これから何を大切にしていきたいのか、どのようなことに興味を持たれているのかを少しずつ知っていくことは、信頼関係を築いていくきっかけにもなります。また、積極的なやり取りがうまくいったことがきっかけとなり、外出や役割獲得への新たな一歩につながるといったことも経験します。

 

 そのためにも、利用者さんの生活の中で日々大変なことがあっても、私たちが訪問することで少しでも明るい気持ちを持ってくださり、新たな一歩へのきっかけとなる一翼を担えたら良いなと思い、日々利用者さんとのやり取りを意識しながら訪問する今日この頃です。

訪問看護ステーションつぼみ

千葉 桂子

 

 

 

 

 

我々の印象を大切に

 

初回訪問にあたって、第一印象が大事だと思う。またさらに言えば事前印象も大事だと思う。利用者さんがどういう意識で迎えてくれるかで、提案に対する信用度合が違ってくるように思う。

 

私が経験している訪問場面は、A.訪問看護ステーションの訪問、B.訪問看護ステーションだがリハスタッフの居ないステーションへの看護師をフォローアップする単発の訪問、C.市町村事業での保健師やケアマネとの同行訪問の3パターンだ。

 

BCについては初回訪問の場合が多い。導入がスムーズになるようにということなのだろうが、「めったにこないリハビリの専門家がくる」的に、けっこうな紹介を事前に伝えてある場合も少なくないようだ。事前印象が良く、第一印象もこれに引っ張られる。この場合、普段やっていただけないようなことをしていただけたり、提案に対する受け入れが良いことが多い印象だ。

 

Bの担当看護師からはビックリされる発言が少なくない。Cの市町村保健師からも、「専門職が来るということを利用させていだくことで介入のきっかけができることが多いんです。」と聞かされた。リハビリに対する期待と専門職への信用があるから成り立つのだろう。だからあえて、過分な紹介をしていただけるのだろうが、大変助かるところでもある。

 

一方で、「なにもしてもらえなかった」という方、「入院中のリハビリがつらかった」という方にもお会いすることがある。その人の持ち味と、生活環境に合わせ、うまいこと提案すると受け入れも悪くはない。しかし、我々の持つ潜在的な印象を損なうことで、第一印象も違ってくるとしたら仕事もしにくくなる。皆で注意することにこしたことはない。

北海道総合在宅ケア事業団

菊地 啓介

 

 

 

 

寄り添う事を経験して

私の職場で発行している広報誌のコーナーの一つに「想いでのケア」があり投稿する事になりました。皆さんも印象の残った利用者さんはいると思います。私が投稿したのは「11歳の少女」です。末期癌ターミナルで、リハビリは拘縮予防、筋力維持でしたが、背景に色々抱えていて、男性の受入れが良い事もあり担当になりました。

余命が短く家族(両親は居なく祖父母)は残りの時間を出来る限り在宅でとの想いで退院しました。介護保険対象ではなく福祉用具のレンタルが出来ません。クリニックのスタッフが一丸となって無料で貸して頂けるマットレス、車いすを提供してもらい、褥瘡、廃用予防の環境準備が整いました。

多感期の女の子です、素直にはリハはしてくれません。楽しみが車いすで近所の友達の家に行くので楽に座れる姿勢や暑い日でしたので大好きなかき氷を一緒に食べながら落ちていく上肢筋力練習として時間を共にしました。告知よりも2週間程延命しましたが、嵐のコンサートに行く、夏祭りに行くイベントを待たずに安らかに永眠されました。

スピリチュアルケアの実践から「少女の存在」という平面を3本の柱①時間(叶えたい事)存在、②関係(周りのサポート)存在、③自律(自己決定)存在を失わさず、サポートできたのか?振返る事があります。在宅では癌の利用者さんも増える中、この実践を一つの考え方とし、亡くなる瞬間まで寄り添うことのできるリハを提供したいと思います。


栄町ファミリークリニック

小野 俊也





ふとした挨拶から感じること

 私は訪問の終わりに「どうもありがとうございました。それでは失礼いたします。」とあいさつをする。返ってくる言葉は「はい、ご苦労様」「はい、どーも」など様々である。その中で「かえってこちらこそ、ありがとうございました」と言ってくださる方がいる。そのたびに『その言葉に胸を張っていられる内容だったかな…』と不安になりながら、訪問宅を失礼する。

移動の車中では、『今日は言いたいことを十分聞き出す時間を取れたかな。自分ばかり話してしまわなかったかな。』『こんな手助けをしたらうまく話を引き出せたな。そのやり方をケアマネジャーさんや通所に伝えておこう。』『私はすぐにわからなかった内容も、ご家族間では阿吽の呼吸で伝わっていたな。この様子もケアマネジャーさんに伝えておかなきゃ。』『今週は外出するといっていたので、次回はその様子を聞くことを中心に進めよう。楽しかったことだけではなく、困ったことにも気づけるように話を持っていけたらいいな。』などその日の反省と今後の進め方について思いを巡らし、「かえってこちらこそ…」の言葉に応えられるようにしなければ、と気持ちを新たにする。

当たり前のことなのですが、訪問は究極の個別リハビリテーションだと感じています。その方に本当に合ったオーダーメイドのリハを提供するためには、当たり前のことなのですが、その方の障害だけに目を向けるのではなく、周囲の方々や生活状況など、日常の生活に目を向けることが必要だと常々感じます。私にとって、当たり前のことを忘れてしまわないようにしてくれる言葉が「かえってこちらこそ…」の言葉なのです。

 

秀友会 在宅リハビリテーション部

大澤 真理

 

 

 

まちへ

車いすや杖を活用されている方々と、もっともっとまちで出会えるようになればいいなぁ~と思っています。大きなお世話でしょうか?私は訪問リハビリテ-ションの仕事をさせていただいていますが、利用者さんから、お寿司を食べに行きたい、ラ-メンを食べに行きたい、お蕎麦を食べに行きたい、焼鳥屋さんに行きたい、映画館に映画を見に行きたい、野球を見に行きたい、デパ-トに行きたい、温泉に行きたい、とお話があります。しかし、なかなか行けません。もっともっと気軽に出かけられるようになればいいなぁ~と思っています。今、私が働いている当別町の商店街、青年団、商工会議所の方々とも打ち合わせを行っています。みなさんが、何とかしたい!なんとかしょう!お店に来てほしい!と心強く話してくれています。この調子で出かける側と出迎えてくれる側が交わったとき、まちで車いすや杖を活用されている方々と、もっともっとまちで出会えるのでしょうか?こちらのエッセイで、みなさんに報告できる日が来るのでしょうか?そのようなことを考えつつ、さあっ!無理せず、コツコツ、ぼちぼち、進んだり、止まったり、後ろに下がったり、また進んだり、今日も、てくてくです。


                 秀友会 在宅リハビリテ-ション部

                                   赤羽根 誠




リハビリテーションのイメージ

リハビリテーション(以下リハビリ)という言葉が一般的に使われるようになっています。自分はリハビリ専門職の作業療法士(OT)ですが、リハビリという言葉で一般の方のイメージと専門職や関連職種の方が抱くそれとでは少しギャップがあるように感じます。一般の方は機能訓練・機能の回復という、狭い意味でのリハビリの印象が強いでしょう。リハビリのチームである医師や看護師、MSW(医療ソーシャルワーカー)やケアマネジャーさん達が持っているイメージはどうでしょうか?もしかしたら現在、現場で実際に関わっているリハビリ専門職のOT、PT(理学療法士)、ST(言語聴覚士)の仕事ぶりや人柄が大きく影響するかもしれません。最近はリハビリ専門職種の直接的な治療だけでなく、より広い意味で「障害を抱える人が住んでいる地域でその人らしく生活できるように、関わる人や取り巻く環境を総動員して支えていく事」というような本来の内容がリハビリのイメージの潮流になってきています。一般の人や、専門職、当事者(利用者)がリハビリのイメージを共有していくことが、我々の日常の仕事に不可欠だと思います。そのためにとても便利なツールとして、ICF(国際生活機能分類)がとても有効です。利用者の生活機能や生活障害を全体的にもれなく共通言語で捉えることができれば、職種や価値観、立場が違っていても問題解決に向けて協業することができます。まずはリハビリ専門職の我々から、当たり前にICFを日常の臨床で、利用者の情報整理などで活用しましょう。


                       さっぽろ在宅医療クリニック

                                                                                                                       播磨孝司





 

「皆さんは、どうしてますか?」

 リハビリ導入の判断のため所長と同行訪問した帰り道、所長の携帯が鳴りました。老々世帯でリウマチの夫を介護している妻から、「夫がトイレで立てなくなってしまった。助けてほしい」との緊急連絡です。すぐに引っ越したばかりのアパートに駆け付けると、どうにか妻の必死の介助でトイレから脱出、居間のソファー座っていました。手を使うことも立つこともできず、また介助しようにも触るだけで痛がります。でも、居間にずっといるわけにもいけません。そこで、まずは、ソファーから一人で立ち座りができるように、座面を高くすることにしました。ソファーの足台になるものを探してたら、引っ越し荷物の中にひもにくくられた本の束を発見。本人の「これなら立てそうだ」の判断のもと本を重ねて高さ12cmになった本の足台をソファーの下に敷き、本人に試してもらうと、やっとではあったけど自力で立ち上がりができ、やっと笑顔を見せてくれました。次の日、自宅にあった廃材で作った足台を持って再び訪問し、ちょっと不安定だった本の足台と交換しました。

 皆さんは、こんな時どうしていますか?どんなふうに対応していますか?

もちろん、立ち上がるための身体機能へのアプローチは必要ですけど、「今すぐに」、「今日から」、「がんばらずに」、本人や家族が安心して生活していける環境整備もとても重要です。こんな工夫から、福祉用具や住宅改修までありとあらゆる手段を駆使して、その方の生活を精いっぱい支援しましょう。それが、訪問リハビリテーションに関わるセラピストの勤めだと思います。

11月で65歳、在宅訪問歴27年、でもまだまだ知らないことばかり。学び合いましょう。


                               NPO法人HPT

                               岡田 しげひこ


 

エッセイを始めるにあたって

このたび、北海道訪問リハビリテーション連絡会では、理事のリレーエッセイを始めることにいたしました。

年に数回の会議やメーリングリストで意見交換しながら会の運営を行っていますが、顔を合わせるといつも「訪問リハ談義」に花が咲き、非常にエキサイトし会議が数時間に及ぶこともしばしばです。

以前と比較し、訪問リハを含め在宅でのリハビリテーションに関する研修の機会は増え、インターネットや書籍などでも多くの情報が得られるようになってきました。

しかし、そういう機会だけでは得られない、日々の訪問でのちょっとした出来事や訪問リハならではの楽しさや難しさを、みんなで共有共感することで私たちは、明日も頑張ろうと思う原動力をもらっているような気がします。

近くに訪問リハの仲間がいる人もいない人も、ふらりとこのホームページをのぞいた方も、訪問リハの楽しさを一緒に共有していくことができればいいなと願っています。

 エッセイは毎月1回、理事が順番に日ごろの思いを綴っていきます。